ウルトラスエード、アルカンターラ共に東レ、故「岡本三宜」博士が1970年に独自開発した海島型超極細繊維(海島型マイクロファイバー)の生産・加工技術をベースに作られた。

出典:教育家庭新聞

出典:日本化学繊維協会
ウルトラスエードとアルカンターラの違い
知名度の違い
ウルトラスエードはメイド・イン・ジャパンを強調し、ファッションデザイナーとのコラボレーションも行われており、ファッション業界ではある程度の知名度を得ています。しかし、アルカンターラと比べると、ラグジュアリー(高級品)としての知名度は低いようです。代わりに自動車業界では、高級自動車に使用されるため知名度が高く、個人で自動車のカスタマイズに利用されている方もおられます。
アルカンターラはベースは同様ですがメイド・イン・イタリアを強調しカバー素材としてだけではなく、様々な高級ブランドのデザイナーや著名なアーティスト、企業とのコラボレーションにより、様々な分野でイタリアのラグジュアリーブランドとして世界的な知名度を得て地位を確立しています。
種類と組成の違い
ウルトラスエードは、公式の11タイプで65%ポリエステル、35%ポリウレタンと80%ポリエステル、20%ポリウレタンの組み合わせがほとんどメインとして作られている。
アルカンターラは、タイプの紹介はされていませんが公式の組成は約68%ポリエステル、32%ポリウレタンが基本で、アルカンターラシャープが71%ポリエステル 、29%ポリウレタンとなっている。様々な利用により組成も複雑になっていると考える。
ポリエステルとポリウレタンの性質について
※ポリエステルの使用率が高いと形状記憶性が高くなり、シワになりにくくなります。
※ポリウレタンの使用率が高いと伸縮性の高い素材となります。
環境への配慮の違い
ウルトラスエードは、植物由来のポリエステルを使用した素材を作り、植物由来原料比率を世界最高水準の約30%に高めた。
アルカンターラは、(TÜV SÜD)からカーボンニュートラリティの認証を取得し、サステナビリティへ恒常的にしっかりと取り組む姿勢を示している。
※カーボンニュートラルは、生産プロセスだけでなく、製品自体の使用と廃棄の段階も含めて、CO2排出量の正味バランスがゼロであることを意味します。
ウルトラスエードとアルカンターラの沿革
ウルトラスエードの沿革
1970年秋冬パリ・オートクチュール・コレクションで注目を浴び、アメリカ合衆国のニュース雑誌の「TIME(タイム)」誌で「the most innovative material since the fig leaves worn by Adam and Eve(アダムとイヴのイチジクの葉以来、世に出た最も画期的な素材)」と記事を飾り注目を集める。
1971年8月日本での商標を「エクセーヌ®(ECSAINE®)」とした。アメリカでは「ウルトラスエード® ultrasuede®」というブランド名で展開。
1971年「ISSAY MIYAKEニューヨーク・コレクション」に採用。’72年秋冬シーズン向けにニューヨークのトップデザイナーに採用され、米国内で「ウルトラスエード® ultrasuede®」として知名度を上げる。
2011年9月パリのテキスタイル見本市プルミエール・ヴィジョンに初出展。
2013年工業用製品や産業用製品のものをを除きグローバルブランドであるウルトラスエード®(Ultrasuede®)に統合された。
2013年10月22日、スエード調人工皮革「ウルトラスエード®(Ultrasuede®)」の日本デビューイベントを開催した。「清川あさみ」がウルトラスエードを使用した「お茶室」空間をプロデュースし公開された。

清川あさみは、文化服装学院卒業。上京直後にスカウトされた事をきっかけに、1998年には「Zipper」などでカリスマ読者モデルとして活躍。2001年、アーティストとして初個展。2003年には写真に刺繍を施す作品で注目された。東京都庭園美術館、水戸芸術館での個展開催アーティストとしては最年少で個展を開催した。2004年「ベストデビュタント賞」受賞、2010年「VOCA展」入賞。2012年、表参道ヒルズで開催された「清川あさみ|美女採集」展では、最多動員数を記録。2012年「VOGUE JAPAN Women of the Year」受賞。2019年には上海で個展「Incarnation」を開催し、現在に至るまで国内外の美術館で展覧会を多数開催している。他にも広告、CDジャケット、空間、本のカバーデザイン、プロダクトデザインなど様々な分野でアートディレクターとして活躍している。
2014年春夏コレクションの中で「Junya Watanabe Comme des Garçons(ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン)」や「Issey Miyake(イッセイ ミヤケ)」ほか、「Tiffany(ティファニー)」のケースなどに「ウルトラスエード® ultrasuede®」が使用されている。

出典:FASHION HEADLINE

TIFFANYジュエリーケース
また、2014年春夏コレクションでCOMMEMOIを立ち上げた呂燕(Lü Yan ルー・ヤン)がコレクションで「ウルトラスエード®(Ultrasuede®)」を用いている。ショーでは、東レのエクセーヌ部門と株式会社東レインターナショナル(中国)有限公司(TICH)がCOMME MOIとエクセーヌのロゴのノベルティグッズ、トートバッグなどをゲストやメディアに配布しエクセーヌの質感を披露した。
ルー・ヤンは、1999年18歳の時にスタイリストのLiDongtianによってスカウト。2000年のスーパーモデルオブザワールドコンペティションで準優勝する。その後パリコレクションを含む様々なコレクションで成功を成し遂げ中国人最初のスーパーモデルとなる。ディオール、グッチ、ランバン、アレキサンダーマックイーンなどのレーベルと仕事をした後、2010年に中国に帰国しモデルを引退。2014年自身のレーベルCOMMEMOIを設立する。「COMMEMOI」は都会的でエフォートレスな、軽々とした気取らないスタイルも支持を集めている。また、2015年に上海で創設された「SHUSHU/TONG」は、ミニマルでフェミニンな遊び心を添えたデザインの服を公開している。
2014年プレフォールでもIssey Miyake(三宅一生)は東レの生地「ウルトラスエード®(Ultrasuede®)」を2色ボンディングしたリバーシブルのコートを披露。「ウルトラスエード®(Ultrasuede®)」は、スエード調の柔らかさが特徴だが、それを2枚ボンディングすることで、滑らかさを保ちつつ、丸みのあるフォルムを実現した。
現在、ウルトラスエード®(Ultrasuede®)は天然スエードのような風合いを持つ素材で、優れた質感や機能性は、ファッション、インテリア、自動車、雑貨、産業用途など様々な分野で、40年を越える歴史のある上質な高級素材として高く評価されている。
アルカンターラの沿革
1972年にヨーロッパでは、「東レ」とイタリア最大の工業会社「ENI」との合併によって「アルカンターラ社」を設立。1980年には、100%日本資本のイタリアメーカーとなる。
アルカンターラ社は、1972年イタリアのアニッチとの合弁でイガント社(現在のアルカンターラ社)を設立する。正式名称を「Alcantara S.p.A.」。
「アルカンターラ(Alcantara)」商標でブランドとして展開。
イタリア共和国ミラノ市に本社を置く。紡糸から染色仕上げまで生産を一貫して行うことにポリシーを持っており、生産拠点はイタリア(ウンブリア州の中心ネラ・モントロ)に置き、製品は「メイド・イン・イタリア」をコンセプトとしてイタリア独自の技術ノウハウ、生産、研究開発、サステナビリティ(持続可能性)、また、テイラーメイド型のソリューション提案によるマーケティングを行っている。

出典:response.
2003年には自動車内装用の「ウルトラスエード®(Ultrasuede®)」が世界共通のアルカンターラ・ブランドに統一された。
2009年、Alcantaraは「カーボンニュートラル」の認定される。カーボンニュートラルであるということは、生産プロセスだけでなく、製品自体の使用と廃棄の段階も含めて、CO2排出量の正味バランスがゼロであることを意味します。
2010年から、ミラノの有名セレクトショップ「10 Corso Como(ディエチ・コルソ・コモ)」とコラボレーション商品を企画。同店のアイコン柄入りのiPhoneケース、iPadカバー、サングラスケースを販売している。
2011年7月、ローマのオートクチュールのコレクションウィーク「ALTAROMA(アルタローマ)」の期間中、アルタローマがヴォーグ・イタリアの協力を得て開催している若手デザイナーのコンクールイベント「WHO’S ON NEXT? (フーズ・オン・ネクスト)」とコラボレートした。最終審査に残った若手デザイナーたちが、アルカンターラ®を使用してデザインしたアイテムのファッションショーを開催。アパレル素材としてのアルカンターラ®の広い可能性をアピールした。
2012年1月、フィレンツェで開催されたピッティ・イマジネ・ウオモで、アルカンターラ®を使用したメンズとレディス向けのバッグ・小物の製品コレクション「A DI ALCANTARA®(ア・ディ・アルカンターラ®)」を発表した。アパレル製品向け素材の企画によって得たノウハウをいかし、本格的にファッション界への進出を実現した。
「ア・ディ・アルカンターラ®」コレクションは、全体で約50~60型、スマートフォンやタブレットカバーなどデジタルツール向けアイテム、メンズのリュックサック、ビジネストラベルバッグ、財布など小物、レディスのクラッチバッグ、ショルダーバッグなどがある。イタリア国内の店頭価格はタブレットカバーで150ユーロ~。
デザイナーには、業界の注目を集めているイタリアの若手、「Andrea Incontri(アンドレア・インコントリ)」「Caterina Gatta(カテリーナ・ガッタ)」「Leitmotiv(ライトモティーフ)」「Sara Battaglia(サラ・バッタリア)」の4名を起用した。アストラカン風のプリントのトラベルバッグ(アンドレア・インコントリ)、80年代、90年代のスカーフをイメージした、ビザンチンの十字架の柄が強烈なポシェットやハンドバッグ(カテリーナ・ガッタ)、マルチカラーの配電盤のような、フューチャリスティックなプリントのクラッチバッグ、トートバッグ、デジタルツールアイテム(ライトモティーフ)、モノクロームなショルダーバッグやハンドバッグ(サラ・バッタリア)など、各々が異なった観点から素材にアプローチし、個性あふれる商品をデザインした。
ミラノの有名販売ショールーム「マッシモ・ボニーニ」が、リテールへのセールスを担当。
2019年5月25日(土)Y’s(ワイズ)Yohji Yamamoto(山本耀司)がアルカンターラ社とコラボレーションしたカプセルコレクションを表参道ヒルズ内スペースオーにて発表した。
現在、イタリア人主体のマネジメントによって、“Alcantara®”ブランドは繊維素材には珍しい、欧州のラグジュアリー(高級品)ブランドとして世界に通用するポジションにいる。今後はグローバルな市場への展開を拡大を目指している。
日本においても、新しいブランド戦略に基づき市場を拡大し、アルカンターラ社からの直接マネジメントによる販売活動の促進が行われ、工業・産業業界、自動車業界やファッションブランドとのコラボレーションも行われている。
ウルトラスエードとアルカンターラの組成
ウルトラスエード
ultrasuede® XL:
65%ポリエステル、35%ポリウレタン
ultrasuede® LT:
80%ポリエステル、20%ポリウレタン
ultrasuede® LX:
80%ポリエステル、20%ポリウレタン
ultrasuede® RP:
80%ポリエステル、20%ポリウレタン
ultrasuede® ST:
65%ポリエステル、35%ポリウレタン
ultrasuede® GP:
100%ポリエステル
ultrasuede® HP:
80% ポリエステル(47% ポリエステル・超極細繊維 *再生資源使用、33% ポリエステル・スクリム)、20% ウレタン
ultrasuede® ER:
65%ポリエステル、35%ポリウレタン
ultrasuede® ST:
65%ポリエステル、35%ポリウレタン
ultrasuede® DP:
65%ポリエステル、35%ポリウレタン
Automotive Aftermarket:
80%ポリエステル(超極細繊維は100%リサイクル繊維を使用)、20%ポリウレタン
アルカンターラ
Alcantara:
約68%ポリエステル、32%ポリウレタン
Alcantara Shape:
71%ポリエステル 、29%ポリウレタン
ウルトラスエードとアルカンターラの環境への配慮
ウルトラスエード
2016年から植物由来ポリエステルを使用した「Ultrasuede® PX」(ウルトラスエード ピーエックス)を展開しています。今回、「Ultrasuede® BX」をラインナップに加えることで、サステナビリティとクリエーションの両方を実現するスエード調人工皮革の展開をさらに拡大します。今回開発した「Ultrasuede® BX」は、サトウキビ廃糖蜜から製造したエチレングリコールを原料としたポリエステルと、非可食のトウゴマから得られるひまし油からなるポリオールを原料の一部に使用したポリウレタンを用いることで、植物由来原料比率を世界最高水準の約30%に高めたスエード調人工皮革です。
アルカンターラ
アルカンターラ社は2009年にすでにこの野心的な目標を世界でもいち早く削減し他企業の一つです。最も厳格な国際認証機関のうちのひとつ(TÜV SÜD)から、世界でも一目置かれるカーボンニュートラリティの認証を取得しました。それからというもの、サステナビリティへ恒常的にしっかりと取り組む姿勢を展開し、その成果は継続的な企業改善プロセスと多数の認証によって強調されています。Alcantaraは、企業活動および製品に起因する、すべての二酸化炭素排出量を測定、削減、および補填しています。現在利用できる技術では排除できない残留排出量は、国連が主催するグリーン補償プロジェクトへの参加を通じて毎年補償されます。このプロジェクトでは世界の最貧困地域における再生可能エネルギー利用の普及を目的としています。また、テュフズードより国際的な認証を得て、毎年、独自のサステナビリティレポートを公表しています。
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