2020年頃からのファッション業界においては、“ヴィーガンファション”という新しいファッションのあり方を提案する動きが活発化しています。素材は動物由来のものではなく、人工で作られたものに切り替わり、その生産背景にも注目が集まっている。今回は、カポックとは何なのか?性質、機能、特徴をご紹介します。
カポックとは

カポックとは、マレー語で「繊維」の意味。アオイ科セイバ属の落葉高木で、木の実から綿のような繊維が収穫できます。病害虫に強いので、農薬は要らず、環境負荷の少ない植物です。
主にインドネシア、他にはインド・タイ・フィリピン島に植生しています。
カポック素材の沿革
カポック繊維は、寝具や救命胴衣の充填材、ソフトボールの芯材として世界中で用いられ、日本では、通称「パンヤ」としても流通し、上記のほか、針山など綿の代替品としても広く用いられてきた。
インドネシアとタイでは近年のカポック繊維生産量は、2003~2004 年頃から生産量が減少している。インドネシアの最大の生産地である東ジャワ州では、2012 年頃の約 3 万 5 千トンをピークに生産量は年々減少傾向にある。化学繊維の需要増加に伴うカポック繊維の需要低下がその最大の原因であるが、これに伴い、インドネシア国内ではカポックの木から他の有用樹種への置き換えも並行して進んでいるとされる。
一方で、近年ヨーロッパやアメリカを中心にカポック繊維を他繊維と混紡し、その糸を用いた衣類の生産が行われるようになった(次節で詳述)。そのため、インドネシアのカポック加工会社への聞き取りによると、需要は増加に対して供給が追い付いていない状態にある。また、マレーシア、インド、スリランカ、バングラデシュからの需要もあるが、特にマレーシアやインドからの需要が高まっており、今後もその傾向は続くとの見通しであった。
カポック繊維のメリット
調査対象地のインドネシアでは、現在も枕・布団やクッションの充填材としてカポック繊維が利用されている。インドネシアの寝具販売店やカポック繊維を用いた寝具の使用者からの聞き取りによると、カポック繊維を用いた枕は化学繊維を用いた枕よりも冷たく感じることがメリットとして挙げられた。ただし、冷たく感じる原因は明らかでない。
また、インドネシアでは化学繊維よりもカポック繊維の方が安価で、化学繊維が主流となった現在も一定量が販売されている。
なお、日本では、禅寺で坐禅を組む際に用いられる坐蒲の充填物として現在も販使われており、これら製品は一般消費者向けにも販売されている。
カポック繊維とテキスタイル
カポック繊維を綿と混紡した製品が製造されている。カポック繊維は中空率が高いため、軽くて保温性があり、肌触りもシルキーでソフトな布ができ、これらの特徴を生かした靴下やシャツ、ズボンなどが販売されている。先述のとおり、カポック混糸の衣類は、日本だけでなくヨーロッパやアメリカなどでも販売され需要が伸びている。従来、カポック繊維は繊維長が短く表面が平滑であるため紡績が難しく、長くテキスタイルとして用いられてこなかった。しかし、1980 年代に綿などその他の天然繊維と混紡する技術が開発されたことから、徐々にカポックを用いたテキスタイルが販売されるようになった。綿に限らず化学繊維との混紡も可能であるが、天然繊維というカポック繊維の特長を活かすため、天然素材との混紡が好まれる。その他、テキスタイルにした際の染色ムラなどを避けるため、染色の特質などが似ている繊維が混紡素材として好まれる。
品質基準:長い繊維長と夾雑物の除去
繊維長が長いこと、夾雑物が少ないことが重視される。繊維長は、上記のとおり混紡機の性質上、長いものの方が好まれる。通常、綿の繊維長は長いもので 28.6-30.8mm、短いもので 20.6mm 以下である。一方、カポック繊維は、本調査では長いもので20.5mm-30mm であった。カポック繊維のなかにはより短い繊維もあると推察されるため、テキスタイル用途では繊維長が長い高品質な製品を購入することが求められる。また、夾雑物には種子や果実皮、ポリプロピレン(PP)がある。特に種子や果実皮
が混入しているものは、メーカーから紡績会社/紡織会社に返品されるケースもある。
したがって、インドネシア(生産国)での加工時に、夾雑物を排除する品質管理が可能となれば、日本でのカポック繊維混の衣類販売の大きな進展につながる可能性があ
る。
課題
商品としての課題
日本では近年、より廉価なポリエステル等の化学繊維の利用拡大や、カポック繊維特有の課題によってシェアを落としている。例えば、ナオ・シング株式会社2は2000 年代前半までカポック繊維を扱っていたが、現在は取り扱いをやめている。
その理由として、
①種子や実の殻などの夾雑物があり、取り除くのに手間がかかる
②繊維に土埃が混入し、枕から土埃が出る
③土埃等によって労働環境が劣悪となる
④カポック繊維よりポリエステルの方が安い
⑤カポック繊維の品質が徐々に低下している
⑥カポック繊維は油分を多く含み燃えやすく火気の心配がある
などが挙げられた。
繊維としての課題
繊維の抜け
カポック繊維は、先述のとおり、繊維長が短く捲縮性がなくて通直である。そのため、紡績時に縒りをかけても抜けが発生しやすい。例えば、洗濯を繰り返すと抜けが大量発生するため、衣服が薄くなる場合もある。デニムなど太い糸に加工できれば、糸が強く繊維の抜けが少なくてすむ。しかし、カポックの魅力である滑らかなさわり心地は糸が太すぎると失われるため、バランスが重要な要素となる。
低いカポック繊維の混紡率
紡績するためにその他の繊維と混紡する必要があるが、繊維長が短いため、混紡率は最大で 5 割程度となる。そのため、カポックの軽さや質感を全面に打ち出した商品を生産しづらい。
テキスタイルの毛羽立ち・染色ムラ
染色が十分にできない場合がある。黒色に染めた際はカポック繊維の部分だけ白く毛羽立つ場合がある。また、テキスタイルに加工後に発生する繊維の抜けによって、同様に染色ムラがあるように見える場合もある。
夾雑物(きょうざつぶつ)の混入
ポリプロピレンなどの異繊維が混ざり、衣類にしたときに目立ってしまう。生産地でのカポック繊維の一次加工時に、適正な品質管理ができていないためだとされる。綿でも同じ問題があるがカポックは綿よりも混入率が高い。また、同様に、種子等の夾雑物の混入も解決すべき課題となっている。
加工時の労働環境の悪さ
紡績時に繊維が空中に舞い、埃っぽくなり、労働環境が悪い。これらのデメリットについて、紡績会社は衣類販売会社に理解してもらう必要があり、販売時に丁寧な説明が求められる。また、衣類販売会社は消費者へのデメリット表示を行い、消費者にも理解してもらう必要がある。
需要の見通し
カポック繊維を用いた衣服の販売会社について、インターネットで情報収集した。その結果、のとおり、現在ないし過去に販売した実績のある企業が明らかになった。なお、実際には、表 1-1-3 以外にもカポック繊維を用いた衣服/布地の販売会社はあると考えられる。このうち、聞き取り調査を行った企業はいずれも、上記に挙げた課題が販売においても障害になりうると指摘した。
例えば、布地に混入した夾雑物のため商品の差し替えが発生し、秋冬商品の販売が遅れた事例もあった。そのため、これらの課題が解決されない限りカポック繊維の取り扱いには消極的とする意見も見られた。
一方で、テキスタイルメーカーにとっては、アパレル企業など顧客の需要が大きく影響する。例えば、2014 年にはあるアパレル企業が植物繊維を使った衣類販売を企画したことで需要が増大した。商品開発における新素材への需要や、カポック繊維の持つ「植物繊維」、「オーガニック」、「環境保全」といったキーワードが業界内で流行すれば需要も増加する可能性も考えられる。
カポックの実の今までの使われ方
カポックの実は、昔から枕やぬいぐるみなどの詰め物として親しまれてきました。撥水性に優れているので、救命胴衣や救難用の浮き輪の中材としても利用され、油に溶けやすい性質を生かして、オイルキャッチャーやオイルフェンスとしても活用の幅が広がっています。
石油由来のポリエステルなどの合繊素材がまだなかった時代、あたりまえのように使われていたのが天然素材のカポックでした。地球の環境負荷軽減が求められる時代に、無印良品は改めてカポックに注目しています。
カポック繊維の製品開発時の課題
夾雑物の混入:種子や他繊維が混入し、材料(布地など)の差し替え等が発生する
繊維の飛散:繊維の飛散により、労働環境の悪化、原料ロスなどが発生する
短い繊維長:紡績時や衣服から繊維の抜けの発生、紡績の困難さにつながる
高コスト:綿と比較すると価格単価が高い
カポック素材の強み
である軽さと暖かさ
カポックは繊維が空洞の中空繊維になっています。これが重なると空気の層となり、寒い時は湿気を吸収して熱を放出する「吸湿発熱」という効果があります。 これが薄くて軽くてもあたたかいアウターの秘密です。
カポック繊維の特徴は、中空率が(70-80%)と高いことである。この高い中空率によって、
保温性や吸湿性など多様な機能が期待される。
エアパック効果で熱伝導率が小さいため断熱効果が高く、また天然の絹のような光沢、ヌメリ、柔ら
かさを備えている。弾性が高く毛玉に固まりにくく、洗濯後の復元力も大きい。また、カポックの枕はエステル綿より重量感があり頭が逃げにくく、縫いぐるみやクッションに用いればポリエステル綿より触り心地が良く存在感があるなど、その特徴を生かした天然素材として現在も利用されている。
ブランドの名前にもなっている、「カポック」。私たちは特殊な加工技術でカポックをシート状に加工し、中綿として使用しています。この新素材の特徴の一つは、軽さと暖かさ。
従来のダウンジャケットの重量は、約800g-1kg。
カポックノットのフードジャケットは、約500g。
インドネシアのカポック農園やカポックの研究施設、カポックシートの開発、製品のデザイン、縫製工場に到るまで。誰がどのように考え、どのような形で関わりながら製品を作り上げているのかを把握し、自分たちの手でお客様へ届けます。
カポックという植物由来の天然の綿を使用しています。カポックとは、主に東南アジアに自生しており、日本でも観葉植物として扱われています。
カポックの生成する綿は、高機能かつエコという特性は非常に注目されていましたが、その繊維の短さから糸にすることが難しく、各社の商品化はこれまで難航していました。
そのため、救命胴衣の詰め物や、クッションなど、限られた用途のみで使用されてきました。
カポックジャパン
KAPOK KNOT(カポックノット)は深井喜翔氏が代表を務めるアパレルブランドです。深井氏の実家は双葉商事という老舗アパレル企業。
今回、長年かけて大手企業と共同開発を続け、ようやく生まれたエシカルダウンカポック™というシート(特許申請中)を使用しています。
エシカルダウンカポック™はとにかく軽くて暖かいのが特徴。カポック繊維は中が空洞(中空)になっており、コットンの1/8の軽さと言われています。カポックは植物由来のため、化学繊維のポリエステルとは違い「呼吸」をします。
湿気を吸って暖かくなる吸湿発熱という機能を持っており、軽さと暖かさの両立を実現しています。カポックはこれらの特徴から、「木に実るダウン」や「ホワイトシルクコットン」とも呼ばれています。
このカポックをリサイクルのポリエステルと混ぜてシート状にしたものが、「Ethical Down KapokⓇ」エシカルダウンカポック™です。
1991年生まれ。大阪府吹田市出身。慶應義塾大学環境情報学部卒。ベンチャー不動産、大手繊維メーカーの営業を経て、家業である双葉商事に入社。4代目として同社の営業を担う傍ら、2019年アパレルブランド「カポックノット」をスタート、2020年に起業。一日10回はカポックと発する、自称カポック伝道師。大阪と東京を往復する忙しい生活を送りながら、疲れは趣味のサウナでリフレッシュ。
コメント